いよいよ新型車登場、そしてアライアンスの先駆者へ

2019年3月28日、NMKVが手掛ける軽自動車の第2世代となる新型ハイトワゴンの日産自動車『デイズ』/三菱自動車『eKワゴン』が発売となった。いずれも、プロジェクト関係者が確信した通りの自信作である。その「軽らしからぬ」新型車に対する自信や、ここまでの苦難の道のりを乗り越えて得た喜びをNMKV関係者に語ってもらった。

「『軽だから仕方ない』という言い訳を排除して、高いレベルでクルマをまとめることに努めました。そのために、プラットフォーム、パワートレイン、電子ネットワークとすべてを新規開発しました。NMKVの役割は、日産自動車と三菱自動車のプロセスを1つにまとめて、生じたギャップを無くすこと。それぞれの会社が得意技を活かして形にした新型車のオフライン式をこうして迎えられたことに喜びを感じています。」
鳥居勲 代表取締役副社長(COO[最高執行責任者])

「開発は日産自動車、生産は三菱自動車というスキームで一番苦労したのは、まったく環境や風土が違う出自の人たちが新型車をつくり上げた点にあります。一番良かったのは、“現場現物”主義で開発や生産の技術者が集まり、すべてをオープンにしてつくり込んだところです。それも、楽しみながらできたことが良かった。コストに挑戦しながらも性能を保持することに時間を割いたので、本当に軽らしからぬ仕上がりになりました。」
堀内義夫 取締役(CTO[最高技術責任者])

「クルマの基準については大差ないのですが、モノをつくるアプローチの仕方や方法論が日産自動車と三菱自動車の生産で違います。直球で来たりカーブで来たりするわけですが、その理由を三菱の生産技術者に理解していただき、日産自動車方式のものづくりを実施していただくために情報をお伝えするのがNMKVの仕事。出来上がった新型車には自信があります。質感、コスト、機能、すべてにおいて他社を凌駕していると思います。」
西山能弘 取締役(CPEO[最高生産技術責任者])

「新元号に変わるこの新しい時代に、軽自動車の世界に新しい基準を作りたいと思い、このプロジェクトに加わりました。室内が広く外観は立派で、その上便利で使いやすい。軽自動車なのでもちろん燃費も良いのですが、実はよく走る。安全性については、日産自動車が持つ技術をすべて投入しました。多くの台数を売って、他のメーカーが危機感を覚えるような新しい基準と呼ばれるクルマに育てていきたいと思います。」
田川博英 CPS:Chief Product Specialist

「ようやくオフラインまで漕ぎ着けたというのが実感です。日産自動車と三菱自動車のアライアンススキームの中で、両社にとって非常に良い共通のベースを作りながらも、「明確に差異化した三菱自動車らしさ」をどうやって表現するのかが最大の課題でしたが、その意味で最高のモノができたと自負しています。さまざまなデザイン上のアイデアを引き出すことで、まさに“お客様の期待”に応えるアクティブな軽自動車となりました。」
吉川淳 CPS:Chief Product Specialist

「開発中、要所々々で役員や海外の関連会社、ディーラーの方々に試乗してもらったのですが、いずれも高い評価をいただいたことは、開発の励みになるとともに自信にもつながりました。日産自動車と三菱自動車のアライアンス以降、お互いにオープンな関係になり、多くの困難を乗り越えることができました。ここまでたどり着けて感慨ひとしおです。期待の高い新型車なので、たくさんのお客様に乗っていただきたいと思っています。」
齊藤雄之 CVE:Chief Vehicle Engineer

遠藤社長

そして、最後に遠藤 淳一 NMKV代表取締役社長(CEO[最高経営責任者])はこう語った。
「このプロジェクトでは、NMKVは大きな挑戦に取り組んで来ました。いわゆる“3つのジャンプ”です。1つ目は、既存のコンポーネントを活用した現行車とは異なり、全く新しいプラットフォームとエンジンを採用したこと。2つ目は、日産自動車向けと三菱自動車向けで明確にデザインコンセプトを分け、差異化を図ったこと。3つ目は、三菱自動車の軽モノづくりのノウハウを活用しながら、日産自動車の先進技術を積極的に採用したことです。新しいアライアンスが始まる5年以上前から、NMKVは日産自動車と三菱自動車をつなぐ架け橋として取り組みを進めてきました。だからこそ、第2世代のハイトワゴンで“3つのジャンプ”を果たすことができたのです。NMKVが中心となったこの軽乗用車のプロジェクトは、新しいアライアンスのパイロット事業とも言えます。これが今後のアライアンスの手本となるように、常にパイオニアとして今後も取り組んで行きたいと思います」

NMKVのチャレンジは今後も続く。