5. CEOメッセージ

新任の安徳光郎CEOの言葉

新型軽乗用EVである、日産サクラと三菱eKクロスEVのオフライン式と正式発表を済ませ、NMKVの安徳光郎CEOは、次のように語った。
「日産自動車と三菱自動車工業は、世界的なEVの先駆者です。また、軽乗用EVを出すために生まれたNMKVが、日産や三菱と一体となり、一から企画し開発してきた商品ですので、非常に感慨深い気持ちでいます。
日本の40%ほどが軽自動車という大きな市場へ向け、日産と三菱の両EV先駆者が軽乗用EVを出すことは、NMKVにとって大きな夢であり、また使命でもありましたので、その面でも大きな転換点であると認識しています。
私は4月に着任したばかりですので、聞いた話ではありますが、企画や開発の段階では、いくつもの困難があり、また多くのお客様にお使いいただく軽自動車にとって不可欠な手ごろな価格でのご提供についての挑戦も、解決には大変な難しさがあったといいます。7年という歳月の長さを振り返っても、そうした苦労を乗り越えるための年月であったと想像します。
NMKVと、日産そして三菱の、深い思い入れや、諦めず一つひとつ克服してきた成果が、この軽乗用EVに込められています。そうした新商品がいよいよお客様の手元へ届けられる日を迎えられたことは、何より感慨深く、嬉しいことです。
はやくも、日本市場のゲームチェンジャーになるとの期待の声も届いています。すでに試乗していただいたジャーナリストの方々や、一部のお客様からも、いままでの軽自動車とはまったく違う、走り、乗り心地、操縦安定性、静かさに対し、驚きをもった賞賛の言葉を戴いています。まさにゲームチェンジャーになると、確信するところです。
クルマのEV化は、脱二酸化炭素や持続的社会の実現に向けて大きく貢献する解決策の一つですが、多くのお客様にご利用いただける軽乗用EVこそ、日本で重要な役割を担うと考えます。日産サクラ、三菱eKクロスEVを、多くのお客様にご利用いただき、その素晴らしさをご体験いただきたいと思います」

安德CEO

これからのNMKVをどう舵取りするか

日産サクラと三菱eKクロスEVの発売によって、2011年に設立したNMKVの取り組みは一つの段階に達したといえる。ここから先、NMKVは、何処を、何を目指そうとしているのか?
「NMKVは、新商品の企画、開発、生産を、運営・管理し、日産が開発、三菱の水島工場で生産という役割分担により、ハイトワゴンの日産デイズ/三菱eKワゴン/eKクロス、続いてスーパーハイトワゴンの日産ルークス/三菱eKクロススペース、そして今回の日産サクラ/三菱eKクロスEVという3つの商品群を、日産と三菱へそれぞれ送り出してきました。ガソリンエンジンの軽自動車で大成功を収め、新型軽乗用EVも成功間違いなしと思っています。
ここまでの十数年では、互いの意思疎通の難しさや、日産と三菱にとって背反する利害関係などもあったと聞き及びますが、4月にCEOに就任し新型軽乗用EVの担当者と話しますと、出身がどちらの会社であるかわからないほど、NMKVと両社が一体化していることが伝わってきます。NMKVが日産と三菱の橋渡し役として、協業による事業の進め方を構築した一つの完成形として、この新型軽乗用EVがあるのではないかと思います。
軽自動車市場の競争は、EV化も含め、この先ますます激しくなると思われます。ここで立ち止まることなく、我々は日産と三菱へ向けた商品を手掛けるNMKVとして、この枠組みにさらに磨きをかけ、競合他社の追従を許さない軽自動車を生み出していきたいと考えます。
そのなかで、軽EVについても継続的に企画、開発していきたいですし、さらには、ほかのセグメントや地域においても、協業の可能性を探っていきたいと考えています」

財産となった合弁での取り組み

NMKVは、日産と三菱の橋渡し役であり、また2社が進める軽自動車事業を順調に運営・管理する成果を達成し、今日に至る。しかし世間一般では、業務提携や協業の難しさが語られ、企業風土の違いなどにより一朝一夕には期待通りの結果が得られないとの声は多い。NMKVは、どうのように解決し、困難を乗り越えてきたのか。
「業務提携の利点は、投資を分け合ったり、量産効果を高めたり、互いが持つ資源を活用したりすることによって、いっそうの効果を得るところにあります。くわえて、異なる経験や文化、あるいは技術や考え方、違った背景を持つ人や組織が交わることで、互いに学び、協力することを通じ、革新や、従来なかった競争力のある商品、あるいはサービスを生み出す力を発揮できます。NMKVは、それらを最大化したといえるでしょう。その成果の一つが、新型軽乗用EVです。
一方、そうした成果を得るまでには様々な難しさがあります。たとえば、同じ日本語を話しながら、用語の使い方や、価値の定義の仕方が異なり、日産、三菱、そしてNMKVの3社の間でも、相互理解に苦労した時期があったと聞いています。またそれぞれの会社の利害に違いがある事例もあったようです。
しかし、丁寧に、透明性を持ち、粘り強く3社が利を得られる最適な回答を常に求めてきたからこそ、大きな成果を出せるようになり、今日に至ったのではないかと思います。異なる経験を持つプロフェッショナルが同じ目的のため一つのチームにまとまり、いくつもの素晴らしい商品という結果を出しました。この成果は、ルノーを含めた提携関係のなかでも、注目すべきものだと思います。
同時にまた、日産、三菱、NMKVのトップ層が、協業を後押しするため適切な決断をしてきたことも見逃せません。様々な議論がなされるなか、適切な時期にトップ層が決断を下さなければ、前進することはできません。そこは、私も含め、今後とも進めていきたい点です」

軽乗用EVを強く薦める理由

改めて、新型軽乗用EVの日産サクラと三菱eKクロスEVの推奨の言葉を、消費者へ向け安徳CEOに語ってもらう。
「新型軽乗用EVは、まさに日本の自動車のゲームチェンジャーとして生まれた商品です。まずは、EVの特徴である、操作した通り手応えよく滑らかに速度をあげる加速や、優れた静粛性は、これまでの軽自動車と比較にならないほどの新しい価値です。さらに、床下に薄型のリチウムイオンバッテリーを車載したことで重心が低く、車両重量は理想的な前後配分になっています。最後までサスペンションを磨き込み、快適な乗り心地と俊敏かつ安心感の高い運転感覚を両立しています。それらは、乗っていただくとすぐにお分かりいただけるでしょう。
また、自宅で充電することにより、給油所へ行かずに済みます。夜間電力料金と組み合わせれば、さらに経済性を実感できるでしょう。
脱二酸化炭素社会に貢献したいと思われる方、先進技術を体感したいと思われる方などには、とくにお薦めしたいです。
最後に、車載のリチウムイオンバッテリーや、電動の駆動系統は、永年にわたり日産と三菱がEVやPHEV(プラグインハイブリッド車)で実績を積み上げてきたものを組み合わせていますので、耐久性や信頼性はすでに十分実証されています。EVの先駆者である日産と三菱の技術を融合し、NMKVだからこそ実現できた軽乗用EVです。安心して使っていただけると自負しています。
日産サクラと三菱eKクロスEVを、ぜひ、多くのお客様に体験していただきたいと思っております」